2019年年末から2021年にかけて、コロナウイルス(COVID -19) とその変異種によるパンデミックのために、世界中の国々が呻吟しています。多くの人が実感としてパンデミックの脅威を感じたことはここ100年の間はなかったと思います(それ以前にはペストやスペイン風邪があります)。感染すれば、死に直結するかもしれない怖さを誰しもが感じていてその結果、各人の社会的行動に制限がかかっている状態だといえます。このような状況は有効なワクチンが開発され、ある程度社会全体に行き渡るまで続くと思われます。このような人類全体に関わる試練は歴史的に幾度もあったのでしょうが、予想外の事態で現代人に近年ない衝撃を与えたのも事実だろう思います。交通等の発達によるグローバリゼーションがパンデミックの高速波及をもたらしたのも事実でしょう。企業もこの影響を大なり小なり受けていていかにこの危機を乗り切るかが重要な課題となっています。
コロナウイルスその変異種の流行とは別に、現在人類を取り巻く世界は、2つの大きな変化の渦の中にあります。1つ目は、長く続いた緩やかな発展の後で科学技術の急発展による急激な社会の全般の変化があります。特に、20世紀初頭に発見された相対性理論と量子論の具体的適用の成果によるものが大きいと思われます。もう1つの変化は、近年の温暖化に伴う自然災害の規模と強度の増加による社会への影響の増大です。この原因である温暖化は太陽の活動の変化など自然のサイクルによるものか人間の活動が直接の原因で自然環境が変化しているのかを見極めることが重要だと思われますが、国連の気候変動に関する政府間パネルの第5次評価報告書は人類の活動が原因である確率は95%以上であるとしています。
さて、人類が長い歴史の中で得てきた科学に対する考え方の基本は、正しい考えだけを集め積み重ねる、いったん間違いということが示されれば、その考えは放棄するというものです。科学に基づく予測は定性的だけでなく定量的にも正しいことが求められます。代表的な科学の典型は数学と物理です。物理は経験が重要で数学は先験的で理屈さえ合えばいい感じで、そのため数学は自由だといわれます。物理はものの成り立ちや動きを追求します。客観性を保証するために実験で検証される必要があります。
物理と数学、一見無関係な2つの学問ですが、深いところで密接に関係していることが指摘されています。現代の物理学は数学なしでは展開できないといわれています。
これらの科学・技術の発展ももとはと言えば、イスラエルの歴史家・哲学者であるユヴァル・ノア・ハラリがその著「サピエンス全史」で指摘しているところの約7万年前に人類に生じた「認知革命」により、想像力をはたらかせるといった抽象的な思考ができるようになったためだと考えられます。遺伝子の突然変異による脳の構造変異と考えられているようです。
私どもは建設業に関連して活動しています。社会資本整備や防災に携わっています。具体的には社会の必要とする仕事を実施して対価を受け取って生活しています。当社は災害時に危険を知らせるようなシステムの設置などを行っているので公共性の高い面もあり、必ず土日は休みとはいきませんが、多くの社員が技術を研鑽し安全を支える黒子の役割にやりがいを感じている比較的若い会社です。 会社はその構成員がともに食べていけるような機会を提供し、かつ社会保険や税を支払って社会に貢献しています。
ここ数年間で以前の建設業のやり方が大きく変わってきたように思います。建設業では計画、調査、測量、設計、施工、維持管理などの構築過程を経て、構造物や建築物を作ってきました。以前は紙と鉛筆で設計し、それらの設計図面に基づいて構造物等がつくられていました。しかし、もともと3次元のものをいったん2次元で表してこの2次元の図面から3次元のものを組み立てるこの方法では、非効率で間違いの発生率も高く、全体としての生産効率が悪いものでした。インターネットが定着し、PCやマイクロ加工技術、プログラミング技術、仮想空間と実空間を重ねあわせたAR等、VR、クラウド、情報科学などが急速に発達した現在では、構築過程を共通の3Dモデルに基づいて作るBIM/CIM、GPS(GNSS)、ドローンなどを利用して、無駄なく、精度よく、短期間に、低費用で構築するようになってきて生産性も向上しています。国交省では、これらのBIM/CIMおよびICT技術を駆使して構築するi-コンストラクションを推進しさらにごく最近ではデジタル革新(DX、デジタル・トランスフオーメション、デジタル革命、デジタル変革)なる概念の下に、抜本的に旧来のやり方を改め現代化を図っています。大都市丸ごと、大量のデジタルデータで置き換え、デジタル・ツインを構築しそれを使って津波・気象・地震になどに対するためのシミュレーションなども行おうとしています。これらの1連のもので、生産性増大、発注の平準化、少子高齢化で人手が足りない、3K業界からの脱却など最新の技術を積極的に利用して新しい時代に対応しようとしているようです。
このような状況で(株)オリオン計測は、この10年間、建設関連の計測業務全般および3D地盤・構造物モデル作成、2D,3D FEM解析などのコンサル業務を行ってきました。また、新しい無線規格の計測技術の展開やスプライン計測技術など新しい計測法などの開発に取り組んできました。従来ひずみゲージ設置や変位・傾斜計測など静的計測業務が主流でしたが、近年橋梁の健全性を調べるための振動解析業務が増加してきました。社会の発展に応じて高度化・細分化・巨大化された膨大な量の科学技術、それらのすべてを1から理解しプログラム化して問題を解決または制御するなど不可能に近い状況です。しかし、そこはよくしたもので、例えば、多くの科学・技術ライブラリを集めたPython(プログラミング言語)に関するディストリビューションであるAnaconda等を利用すれば高度な科学技術を駆使し、制御することが可能になっているのです。AIであろうと大量データの処理あるいは高度な科学技術計算であろうと簡単にできてしまうのです。いわば、1つ1つが高度な部品を集めて組み立てるだけでその問題が解決されるわけです。それは人間が高度で複雑な問題を制御できることを意味します。したがって、今まで、狭い領域で深い専門技術か広く浅い技術の組み合わせで問題解決をはかるしかなかったものが広く深い技術で問題解決がはかれる時代になっているのです。
建設関連には大小様々な問題があり、これらの技術を駆使して小さな問題でも解決すれば大きな喜びが得られます。(株)オリオン計測は、社会的使命を感じ、科学・技術で社会の問題を解決することに喜びを感じられる人を求めています。
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